11月26日に、新しいC型肝炎の飲み薬、ヴィキラックスが発売されました。
ヴィキラックスは、本年9月に発売されたハーボニーと同じく、セロタイプ1のC型肝炎に対する治療薬です。
ヴィキラックスは、C型肝炎ウイルスの複製に関わる、NS5Aを阻害するオムビタスビルと、NS3/4Aプロテアーゼを阻害するパリタプレビルの合剤で、リトナビルというパリタプレビルの効果を高める薬が配合されています。
昨年9月に初めての飲み薬だけのC型肝炎治療薬ダクルインザ・スンベプラが発売されてからまだ1年余りですが、最適の治療薬を選択して治す時代が来たといえるでしょう。
上の表は、それぞれの臨床試験成績をまとめたものです。ハーボニーとヴィキラックスは、①どちらも治療期間が12週間で、②発売前の臨床試験において100%近い効果が得られたという共通点があります。
③ヴィキラックスは、C型肝炎ウイルスにY93Hという遺伝子変異がある場合は治療効果が劣るので、事前に血液検査で耐性変異の有無を確認する必要があります。④ハーボニーは腎機能が低下した方への使用は注意が必要で、eGFRという検査値が30未満の場合は使用できません。
⑤ハーボニー、ヴィキラックスとも、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>との併用は禁忌です。ハーボニーは、アミオダロンという不整脈の薬との併用は非常に注意が必要で、胃酸を抑える薬との併用も注意が必要とされています。ヴィキラックスは、カルシウム拮抗剤と呼ばれる種類の降圧剤や、一部の脂質異常症治療薬などとの併用が禁忌または要注意です。
⑥いずれも非常に高価な薬ですが、ヴィキラックスの方が少し安価です。肝炎助成制度を使えば自己負担は変わりませんが、医療経済上の配慮が必要かもしれません。
*出典:ハーボニー配合錠添付文書、ヴィキラックス配合錠添付文書
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