朝起きた時などに胸焼けがする、口の中が酸っぱく感じる、げっぷが出る、咳が出る、声がかれる、のどのつかえ感。これらの症状は逆流性食道炎が原因の可能性があります。
政府の統計によると、日本の2011年の逆流性食道炎の患者数は23万8千人と、1996年と比べ15年で6倍近くにまで増加しています*。中年層では男性の方が有病率が高い傾向にあり、男女共に高齢者の方が有病率及び重症度が高くなっています。
原因の一つは、夜食べ過ぎることです。よく、寝る前の3時間はものを食べないようにといわれますが、胃の中に未消化のものが残ったまま横になると、逆流してしまうことがあるからです。脂肪分の多いもの、甘いものなどは特によくありません。
診断は内視鏡検査で行います。ときには、食道がんや胃がん、十二指腸潰瘍などのために通過障害を起こして症状が出ている場合もありますので、そういうものを見逃さないためにも、内視鏡検査をお勧めしています。食道の粘膜がただれていたり、食道と胃のつなぎ目である噴門の緩みが観察されることがあります。
治療には、胃酸の分泌を抑える薬や、逆流を起こりにくくする薬、時には漢方薬を使用します。また、生活習慣の改善はとても重要です。夜寝る前の食事のほか、お酒やタバコを控えるのも有効です。体重を減らして腹圧を減らすことも症状の改善に役立ちます。
薬はよく効くので、とても楽になったという患者さんが多くいらっしゃいます。
プロトンポンプ阻害剤(PPI)という種類の薬が多く使われますが、1年ほど前から、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれる新しい薬も使用できるようになりました。P-CABはPPIよりも効果発現が早く、酸を抑える力も強いため、症状を早く治したい場合や、PPIで効果が不十分だった方に適していると考えられます。
出典:*e-Stat 政府統計の総合窓口(http://www.e-stat.go.jp/)
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