糖尿病治療薬には様々な種類があります。2014年に発売された「SGLT2阻害薬」は、大規模臨床試験で、心臓血管に関する有害事象発生率の低下、死亡率の低下、腎障害の進行抑制などの効果が明らかにされ、注目されています。
SGLT2阻害薬は、腎臓の尿細管で、糖の再吸収を行っているSGLT2の働きを抑えることにより、過剰な糖を尿に出すことで血糖値を下げる薬です。
この薬を服用すると、1日に約80g(320kcal相当)の糖が尿中に排泄されます。血糖の改善と体重減少効果もあり、平均で約1%のHbA1cの低下と、3㎏の体重減少が認めらます。
インスリン抵抗性の改善、血圧の低下、中性脂肪(TG)の低下、HDLコレステロールの上昇がみられ、脂肪肝の改善や、微量アルブミン尿の改善による腎保護効果も報告されています。
血糖改善のみならず、合併症の治療、予防効果が得られるメリットがある薬です。
注意点としては、尿糖の排泄に伴い尿量が増えるので、脱水の予防が大切です。水分を多めに補給するよう心掛けましょう。また、糖が尿と一緒に出るため、菌が繁殖しやすい状態になり、膀胱炎などの泌尿器感染症のリスクが高くなります。清潔を心がけ、頻尿や陰部の違和感などの自覚症状がでたら早めに医師に相談するようにしましょう。
脱水になりやすい高齢の方や、やせ型の方には不向きですが、肥満傾向の方、高血圧や脂質異常症を合併した方、脂肪性肝障害の方に特におすすめいたします。
*出典:「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」、EMPA-REG OUTCOME. N Engl J Med. 2015他。
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