下痢や血便が2週間以上続く。こんな症状があったら潰瘍性大腸炎かもしれません。
発症は30歳以下の成人に一番多いのですが、小児や50歳以上にもみられます。
症状や問診で疑われたら、主に大腸内視鏡検査により診断します。
原因は不明とされていますが、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられています。長期間の治療が必要ですが、命にはかかわりません。薬を飲むことにより多くの場合症状はコントロールできます。
安倍首相の持病としても有名で、第一次政権での突然の辞任の原因といわれていますが、治療により無事寛解し、第二次政権を発足させることが出来ました。
治療は、5-ASA製剤の内服や、注腸製剤を用います。重症度に応じて、ステロイドや免疫抑制剤、抗TNF-α抗体製剤による治療が必要となることもあります。
5-ASA製剤とは、活性酸素やロイコトリエンといった、大腸で炎症を起こす原因となっている物質を抑制することにより効果を発揮する薬です。ペンタサ、アサコール、リアルダなどの内服薬があります。また肛門から注入するペンタサ坐剤・注腸液、レクタブル注腸フォームといった製剤もあり、症状に応じて使い分けます。
5-ASA製剤の効果は用量依存性であり、潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返すことから、可能な限り高用量を長期間(基本的に無期限)服用し続けるのが基本です。副作用としては、内服初期にアレルギーが2%くらいの方に起こり、下痢や血便がひどくなる、発熱などの症状がでます。その他、タンパク尿、咳がでることがあります。副作用が出るのは初期に多く、長期連用による問題はまずありません。
原則として中等症以上に限られますが、申請により指定難病医療費助成制度の対象となります。
大腸がんを合併することもあるため、内視鏡検査を含む定期的な経過観察が必要です。
出典:Q&AでスッキリわかるIBD診療 加藤順先生(和歌山県立医科大学第二内科准教授) 平成28年度改訂版潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針
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