B型慢性肝炎の方は、肝硬変、肝がんを発症するリスクがあります。ウイルス量(HBV-DNA)が多いほど発がん率が高く(下図)、治療でウイルスを減らすと発がん率が下がったというデータもあります。その他ALT高値、HBe抗原陽性、HBs抗原量などがリスクに関与します。
現在の治療ではB型肝炎ウイルスを完全に排除することは困難であり、ウイルスの増殖を抑える核酸アナログなどにより治療します。核酸アナログはウイルスのDNA合成を抑えることによって、ウイルスを減らし、肝機能を改善させます。
核酸アナログの中でも、新しいものは耐性ウイルスの出現がほぼ無く、一部のものでみられた腎機能障害や骨粗しょう症などの副作用の問題も解決されています。
ALT値を正常化し、HBe抗原、HBV-DNAを陰性化させることが短期的な目標で、長期的にはHBs抗原消失を目標に治療を続け、肝硬変への進展、肝がんの発症を抑制します。
出典:Risk of Hepatocellular Carcinoma Across a Biological Gradient of Serum Hepatitis B Virus DNA Level. Chien-Jen Chen, ScD; Hwai-I. Yang, MSc; Jun Su, MD, MSc; et al, JAMA. 2006;295(1):65-73. B型肝炎治療ガイドライン(第3版)2017年8月(日本肝臓学会)
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