睡眠薬は日本の成人の20人に1人が服用しており、特に50歳以上で不眠の方の割合が多くなります。不眠には、入眠困難(寝つきが悪い)、睡眠維持困難(夜中に目が覚めて二度寝がしにくい)、早朝覚醒(朝早く目が覚める)などの種類があり、日中に疲労感、注意力低下、眠気などの症状がでることもあって、治療が必要になります。
内服治療の他、睡眠衛生を保つことも有効です。適度な運動をする。寝室は遮光し、騒音を防ぎ、適度な温度を保つ。就寝4時間前からカフェインは控えるなどが推奨されます。
睡眠薬には以下のような種類があり、また作用時間によって、1)超短時間作用型、2)短時間作用型、3)中間作用型、4)長時間作用型の分類があります。不眠症のタイプに応じて適切な睡眠薬を使い分けます。
睡眠薬は服用してから10-30分程度で効果が出ますので、就寝直前に服用するようにしましょう。服用後に就床しないでいると、寝付くまでの間の出来事(行動や会話)の記憶を無くして翌日覚えていなかったり、脱力やふらつきなどで転倒する危険があります。
①は一般的に催眠作用が強く、長期、高用量の服用は注意が必要です。①と比較して②は長期服用による耐性が出来にくく、筋弛緩作用が少ないため転倒や骨折のリスクも少なめです。
③は睡眠覚醒リズムを整える作用があります。安全性が高く、高齢者でも使いやすい薬剤です。
④は覚醒を維持するオレキシンを抑えて睡眠を誘導します。睡眠維持困難や、早朝覚醒にも効果があります。
⑤は症状に応じて、催眠作用のある抗うつ剤等を用います。
基本的に睡眠薬は無期限に長く使用する薬ではありません。症状が落ち着いたら、量を減らす、もしくは服用を止めることが必要です。ただし十分治らないうちに止めてしまうと、不眠が再発したり悪化したりすることもあるので、主治医と相談のうえで調整しましょう。
出典:厚生労働科学研究班日本睡眠学会ワーキンググループ作成「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」
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