■慢性腎臓病とは
慢性腎臓病とは、腎障害や腎機能の低下が持続する疾患で、進行すると末期腎不全に至り、透析療法や腎移植術が必要となることがあります。また、心筋梗塞や脳卒中、心不全や、死亡のリスクが上昇するのが問題です。慢性腎臓病は自覚症状に乏しいことが多いのですが、血液・尿検査で診断が可能です。生活習慣の改善や、病態に応じて食事療法、血圧・血糖・脂質の管理なども含めた治療が必要となります。
■慢性腎臓病の原因と治療
慢性腎臓病の原因としては、糖尿病から引き続いて発症する糖尿病性腎臓病や、高血圧と関連の深い腎硬化症などがあります。治療は病態によって異なる点もありますが、生活習慣の改善、糖尿病や高血圧などの原因となっている疾患に対する治療と、球形吸着炭という尿毒症治療薬や、エリスロポエチンという腎性貧血を改善する注射などを用います。
■まずは生活習慣の改善を
タバコは慢性腎臓病を悪化させ、死亡率も上昇させることが明らかになっていますので、禁煙しましょう。塩分は1日6g以下に控えることが推奨されています。進行した慢性腎臓病では、タンパクやカリウム制限が必要となることもありますが、過度のタンパク制限は特に高齢者で低栄養につながる懸念がありますので、主治医と相談しましょう。
■治療薬
高血圧は腎機能を悪化させます。糖尿病の合併の有無などで異なりますが、140/90未満もしくは130/80未満などが目標となります。
ACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬,サイアザイド系利尿薬という種類の降圧剤を中心に使用しますが、病態や年齢などに応じて使い分けます。
高尿酸血症、脂質異常症も腎臓に悪影響があります。治療により、腎機能悪化を抑制し,尿タンパクを減少させることが期待されます。尿酸値を下げるには、アロプリノール,フェブキソスタット,トピロキソスタットなどを、脂質異常の改善には、にはスタチンやエゼチミブという種類の薬を主に用います。
球形吸着炭は、尿毒症毒素を吸着して便とともに体外に排泄し、尿毒症症状を改善する効果があり、腎不全の進行抑制が期待されます。いわゆる活性炭を薬にしたものです。量が多くて飲みにくい、他の薬との併用を避けて食間に服用する必要があるので面倒などの難点もありますが、速崩錠という飲みにくさを改善した剤形もあります。
エリスロポエチンは、赤血球造血刺激因子製剤という、腎臓が原因の貧血を改善する注射薬です。慢性腎臓病で貧血がある(Hb 11 g/dℓ未満)場合に使用できます。腎機能の悪化や透析の導入、死亡を減らす効果が証明されています。2週~4週に1回の注射です。
出典:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018、日本腎臓学会
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