骨粗鬆症の方が増えています。予防、改善のためには、食事・運動療法が有効です。カルシウムやビタミンD・Kを含む食品(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品、魚類、きのこ類、納豆)、果物や野菜、タンパク質(肉、魚、卵、豆、牛乳・乳製品など)の摂取が推奨されます。反面、リンを多く含む食品(加工食品、一部の清涼飲料水)、食塩やカフェイン、アルコールの摂りすぎはよくありません。
運動は骨密度を上昇させるとともに、背筋強化により椎体骨折の予防や、運動機能を高めることにより、転倒防止にも繋がります。有酸素運動、筋力強化、バランス訓練などを組み合わせて行います。ウォーキングや、ダイナミックフラミンゴ療法(片足立ち左右各1分間を1日3回)が有用です。
薬には、骨をこわす細胞(破骨細胞)の働きを抑えて骨量を増やすデノスマブ、ビスホスホネート薬や、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、副甲状腺ホルモン製剤、骨の代謝を助ける活性型ビタミンDなどがあり、病態に応じて使い分けます。
骨密度検査や骨代謝マーカーの測定により、診断、治療効果判定ができます。
■デノスマブ
6か月に1回皮下注射する薬です。カルシウム剤等の内服薬と併用します。効果は高く、持続的な骨密度増加、骨折予防効果を有します。
■ビスホスホネート薬
飲み薬、注射薬があります。飲み薬は、毎週および毎月服用するもの等があります。服用後30分以上横にならない、飲食を避けるなどの注意が必要です。注射薬は飲み薬よりも効果が高く、月1回のものや、年1回の点滴もあります。
抜歯などの歯科治療の際に、顎骨壊死という副作用が生じることが、まれにあります(0.85/10万人・年)。服用期間が3年未満でリスクが低い場合は、原則として歯科治療中も継続しますが、3年以上やリスクが高い場合には、3か月程度の休薬を検討します。
■選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
閉経後骨粗鬆症が適応の薬です。骨組織に対してエストロゲン(女性ホルモン)作用を示し、効果を発揮します。
■副甲状腺ホルモン製剤
骨形成促進作用のある薬で、重症の骨粗しょう症に適しています。注射薬で、投与期間制限があります。
■活性型ビタミンD
ビタミンDは、小腸からのカルシウム吸収促進や、副甲状腺ホルモンの生成・分泌を抑制することにより、効果を発揮します。直接骨代謝を改善する作用もあります。
出典:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版、今日の治療薬2019
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