〇〇という薬を飲んでいると危ない、薬は飲まない方が健康に良い、がんは治療しない方がいい、コレステロールは実は□□□まで大丈夫。週刊誌や新聞広告、はては一部の学会まで・・。何が真実で、我々はなにを信じればよいのでしょうか。
確固たる根拠があれば、それが真実である可能性は高いと言えます。医学で科学的根拠のことをエビデンスと呼びます。表はエビデンスレベルの考え方の一つを示したもので、上位のものほど科学的根拠が強い信頼できるエビデンスです。そうすると、週刊誌などでデータの裏付けが無く、△△先生が○○という薬は飲むと危ないと書いているのは、患者データに基づかず述べられた専門家(?)個人の意見ですので、エビデンスレベルⅥとなり、比較的低いレベルの根拠と考えられます。診療ガイドラインなどの成書では、治療の基準、方針、治療薬等に関し、エビデンスや推奨の強さを記載しています。それらが高いものは、信頼に足るといえるでしょう。
高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、多くの診療にガイドラインがあります。科学的根拠に基づいて作成されており、適切な治療方針や、その効果が示されています。例を挙げると、高血圧症の薬を服用して、収縮期血圧が10mmHg、拡張期血圧が5mmHg低下すると、脳卒中のリスクが40%、冠動脈疾患のリスクが20%減少します。スタチンというコレステロール治療薬には、プレイオトロピック効果という、血管内皮機能改善、心筋保護、抗炎症作用があり、狭心症や心筋梗塞などの発症や再発を減らします。
あれこれ悩まずとも、多くの診療に答えは出ているのです。
もちろん個人差、合併症の有無、疾病の性質など、個々の事情は異なります。調整して最適化を図る、いわゆるさじ加減は必要ですので、医師とよくご相談ください。不確かな情報に惑わされず、適切な医療を受けましょう。
出典:Minds診療ガイドラインの作成の手引き2007、他
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