2014年9月に飲み薬だけでC型肝炎が治せるインターフェロンフリー療法が始まったこともあり、C型肝炎ウイルスを駆除できた方が増えています。
その一方、ウイルス消失後の肝癌発症が問題となっています。
C型肝炎ウイルスが消えると、発癌リスクは有意に低下します。しかしウイルスが消えた後でも、肝癌を発症することが報告されています。インターフェロン療法によりウイルスが消失した後の肝発癌に関しては、ウイルス駆除後の5年、10年発癌率は、それぞれ2.3~8.8%、3.1~11.1%と報告されています。発癌リスクとしては明確なリスクは肝線維化の進行で、その他、高齢、男性、飲酒、肝脂肪化、糖尿病などが重要です。また、治療後の血液検査で、ALTやAFPが高値だと、発癌リスクが高いと報告されています。
ウイルスが消失してから発癌までの期間の多くは10年以内ですが、10年以上経過した後に発癌した症例の報告もあり、海外の研究で、駆除後7年以上経ってからの発癌が50%とのデータもあります。従って、ウイルス消失後の肝発癌のスクリーニング期間については、未だ一定の見解はありませんが、症例毎の発癌リスク要因に応じて、ウイルス消失後も定期的な肝癌のスクリーニングを行うべきと考えられています。
また、インターフェロン療法でウイルスが消えた場合と、飲み薬だけのインターフェロンフリー療法でウイルスが消えた場合とで、同程度の肝発癌抑制効果が得られるかどうかについては現時点で分かっていません。従って、インターフェロンフリー療法後は、さらに注意深い肝発癌スクリーニングが必要です。ことに、高発癌リスクである高齢かつ線維化進展例においては厳重にフォローアップを行うことが推奨されます。
ウイルスが消えても、肝癌のリスクが無くなるわけではありません。必要な間隔で通院を続けましょう。
出典:C型肝炎治療ガイドライン(第8版)2020年7月 日本肝臓学会
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