肝臓病について

厚生労働省の平成26年人口動態統計によると、本邦では平成26年には1,273,020人の方が亡くなっています。
そのうち肝がんによる死者が29,528人、ウイルス性肝炎による死者が4,744人、アルコール性を除く肝硬変による死者が7,788人、その他の肝疾患による死者が7,868人と、約5万人の方が肝臓病で亡くなりました。
肝がんで亡くなる方は1970年には約1万人でしたので、肝がんによる死者だけでもおおよそ3倍に増えています。

C型肝炎について

肝がんの原因の約7割、肝硬変の原因の約6割はC型肝炎です。肝臓病で亡くなる方を減らすためには、C型肝炎を叩くことが重要です。

かつてはC型肝炎ウイルスを駆除するため、注射薬であるインターフェロンを含む治療が行われました。しかしインターフェロン治療には比較的重い副作用が出ることがあり、貧血、血小板減少、うつ病、その他の合併症がある方、高齢の方は治療を受けることが困難でした。残念ながらインターフェロン治療を受けても治らなかった方もいます。

2014年9月3日から、飲み薬だけでC型肝炎ウイルスをたたく治療が始まりました。インターフェロン注射とは違い、正しく使えば大きな副作用もほとんど無く、治療効果も高いため、C型肝炎でお悩みの方は、もはや迷うことなく治療を受けていただきたいと思います。ただし、非代償性肝硬変の方など、対象にならない場合もあります。また薬の種類により、重度の腎機能障害のある方には使えないものや、一部の血圧の薬との併用が制限されるものもあり、注意が必要です。

日本では、150~200万人の方がC型肝炎に感染しているといわれています。感染に気づいていない方や、未治療の方も多くいらっしゃいます。特に肝がんは高齢になるほど発癌率が高く、早期の治療が必要です。

B型肝炎について


日本人の約1%、150万人の方がB型肝炎ウイルスに感染しています。B型肝炎も、C型肝炎に次いで、肝がん、肝硬変の原因として大きなウェイトを占めています。出産時もしくは乳幼児期にHBVに感染すると9割以上の確率で持続感染となります。1984年に開始された母子感染防止事業により、いわゆる母子感染は激減しましたが、性交渉に伴うB型慢性肝炎が増加しているのが近年の課題です。

乳幼児期に感染して持続感染となった場合、そのうち約9割は若年期に非活動性キャリアとなり、ほとんどの例で病態は安定化します。しかし、残りの約1割では、ウイルスの活動性が持続して慢性肝炎の状態が続き、年率約2%で肝硬変へ移行し、肝がん、肝不全に進展します。

成人に達してからの感染では、急性肝炎後にウイルスが排除され肝炎が鎮静化するのが一般的でしたが、近年では慢性肝炎に移行する症例が増えています。

B型慢性肝炎治療の目標は、肝硬変への進展、肝不全および肝がん発生の抑止です。現在治療に用いられるのは、インターフェロン注射と、核酸アナログと呼ばれる内服薬です。核酸アナログは飲み薬であり治療が簡便ですが、中止するとウイルスの再増殖を来たすため、きちんと継続することが必要です。

大腸内視鏡検査について

脂肪肝とは肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、アルコール性肝障害など他の原因の肝疾患を除いたものを、非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)とよびます。NAFLDの多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを基盤に発症することから、メタボリックシンドロームの肝病変として捉えられています。そのなかでも、進行性で肝硬変や肝がんの原因となるものが、非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)と呼ばれます。NASHはNAFLD全体の1-2割といわれていますが、肝硬変、肝がんへ進展することがあり、注意が必要です。

腹部超音波検査(エコー)で観察すると、脂肪肝の肝臓は白っぽく見えるため、脂肪肝と診断できます。

NAFLD/NASHは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などのメタボリックシンドロームと関連する合併症を伴うことが多く、まずその治療を行います。肥満がある場合は食事と運動療法により減量を図ります。 NASHは5-10年の経過観察で、5-20%が肝硬変へ進展すると報告されています。危険な脂肪肝を見極め、適切な治療を継続して行うことが重要です。



C型肝炎は飲み薬でウイルスを消せるようになりました。B型肝炎も治療の進歩でコントロールしやすくなりました。NAFLD/NASHは増加傾向にあり、今後も注意が必要です。

その他にも様々な原因の肝臓病があります。肝臓でお悩みの方は、ぜひ肝臓専門医にご相談ください。

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